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「全部、好き。」

ちょっとした雑記。
短編。
特に意味はない。
あんまり考えてない。

主人公は野球部で青春してる高2の男子生徒、杉本雄太。

雄太が恋してるのは、季節はずれの転校生、江崎香里。

香里となにかあって親友的なかんじの上田志穂ちゃん。
香里の思い人、先輩(本名‐先輩←)。

なんかそんな感じ。

あとは皆さん、自力で妄想して肉付けして頂戴。

続きが気になる方は追記へどうぞ。




季節はずれの転入生が来た。俺のクラスに。


朝練を終えて、HRの間も半分寝ていた俺だったけど、寝ぼけた意識にその透き通った声が響いて目が覚めた。

肩のところで切りそろえられた髪。柔らかそうなそれは窓から入る太陽に照らされ天使の輪というヤツができていた。強く真っ直ぐ前を見据える瞳は、綺麗なガラス球みたいにきらきらしていて。一文字に引き結ばれた唇は桜色で、白い肌によく映えていたことを覚えている。


「・・・ぃ・・・お、・・・馬鹿!!!!」

なんでだろう、やけに馬鹿だけはっきり聞こえた。

「ちゃんと聞いてんの、お馬鹿雄太!」
そう言ってずり落ちた眼鏡を指で押し上げる江崎香里。うん、たぶん、つーか、俺の想い人。一目惚れってヤツ。

「・・・おう。」

本当は香里に見惚れてて、全然聞いてませんでした。でも、正直に言えば彼女が美術部で鍛えた拳で拳骨が降ってくる。これ以上バカになるのはごめんだった。

「ごめん、香里・・・まったくわかんない・・・」

「いいのいいの!もう一回最初から、一緒にやってみよう?」
一緒に勉強してるクラスメイトの上田志穂には態度違うんだよなー。「雄太、あんたは問6、解きなさい。」って、俺には命令なのに。

「かおりー、できたー」

「・・・お前、白紙で出来たって、眼科行くか?それとも脳外科か?」

正直脳外科ってところでどんな治療をしてくれるのか、まったくわかんなかったが、それらも含めて判らないことをアピール。それを見てため息を吐いた香里は、ちょっと待って、と俺のプリントに何か書き込んだ。
「いい?これがまず書き出し。で、ココの角とココの角が等しくなるから、それを続けて書いて、あとは計算。」
細い指が図形を指差して、線をなぞる。説明を聞くというよりは、その指をじっと見つめていただけだけど、判ったか、と聞かれて判らないと答えれば、美術部で鍛えた拳以下略。
「わかったー、ありがとうー」
気のない返事を返して、プリントを受け取る。
「はい、どういたしまして。」
んー、とこれまた気のない返事で返してプリントを見る。香里を見る。プリントを見る。香里を見る。

志穂に懇切丁寧に教えている香里が好き過ぎてどうしようもないんだけど、こういうときってどうすればいいんだろう。

ぱらぱらと数学の教科書をめくってみたが、答えはなかった。答えを求めるための公式もない。既に全ての答えが書き込まれている香里の宿題のプリントを覗くも、やはり答えはなかった。手元にあった香里の愛読書をめくるも答えはない。難しい問題だ。どうしたら解けるだろう。俺より頭いい奴って香里以外誰だろう。


親父?

だめだ、だって最近なんかかれーくさいし。歳かなぁ、親父。もうちょっと店手伝ってやろう。

野球部の顧問?

だめだ、だってバットしか持ったことなさそうだし。顔かなぁ、先生。いい整形外科探してあげよう。

コーチ?

だめだ、だってあの人の靴って傍にあるだけで異常な匂いを発するし。汗かなぁ、コーチ。いい消臭元探そう。


まともな人がいねぇ。


そんなこと考えてたら周りはカオスと化していた。
志穂の先輩、それから後輩。なだめる香里、怒鳴る志穂。そういえばカオスって何語?ああ、日本語か。

「ああ、もうっ!!ごめんね、香里、杉本。もう、これ、だめだわ。」

死んだ目をして振り返った志穂は、俺と香里を図書室の外に押し出した。
「じゃあまた明日。」
パタンと静かに閉まった扉の向こうで、志穂の悲鳴と怒鳴り声と、それから誰かが殴られる音。
「・・・問6、解けた?」
阿鼻叫喚の地獄絵図と化した図書室を背に、そう尋ねた香里に首を振ってとりあえず笑う。
「でも、香里のおかげでやり方は判った。サンキュな。」
「・・・そう。」
平淡に答えた香里が立ち止まったので、あわせて立ち止まる。振り返った香里の視線の先には、たったいま、階段を降りていった先輩。


ああ、やっぱり。


なんとなく予想はしていたことだけど、香里は先輩が好きなんだ。

先輩相手じゃ、勝ち目ないかな。

ちょっとだけそう思って、コンマ一秒でその考えは消す。多分、先輩のことが好きで、必死になってる香里が俺は好きなんだ。悔しいし、悲しいし、正直香里にも先輩にも自分にもむかついてるけど、うん、不思議だ。
清々しい。
切なげな香里に「行こうぜ。」と声をかけて、歩き出す。無言で歩き始めた香里になんとなく、言う。


「俺、お前のそういうとこ好きだ。」


だから、俺にしとけよ、先輩なんかじゃなく。続きそうになったその言葉は心のどこかに鍵を掛けてしまっておいて、一歩後ろの香里を振り返った。驚いた顔。それから一気に赤くなる顔。可愛い。
「ば、ばかじゃないの!?」
「だって俺、馬鹿だし?好きだし?」
「どこだよわかんないよバカじゃないの馬鹿だろバカか。」
突然歩くのが速くなった香里の一歩後ろをついていきながら、バカを連呼する香里に言ってのける。

「髪とか目とか、鼻とか唇とか、首とか、声とか口調とか性格とか、指とか、あと・・・あ、全部か。」

あげたらキリがないことに気づいて、そういえば全部だと考え直す。


「うん、全部。全部だ、全部。」


ぜーんぶ。言いながら、思考も動きも完全に停止した香里の頭をなでまわした。多分普段なら美術部で鍛えた拳以下略のはずだけど、案外普通に受け入れてくる。覗き込んだ顔は面白いくらいに真赤になっていて、思わず噴出しそうになったけど、そこはぐっとこらえて「じゃあな。」と笑った。





廊下の真ん中に取り残されたあたしはどうすればいいんだろう。

遥か前方を一人去っていく杉本はやっぱりバカだと思う。バカなんだ。絶対。
だって、あんなくさい台詞を素で吐くなんて、絶対頭のねじがどこかおかしくなっている。あういうのはその場しのぎの言葉として使うから、その効力を発するものだと思っていたのに。

こんな風に動悸息切れが激しい自分は一体なんなの。

「・・・効いた・・・」

最後に撫でられた頭に僅かに残る熱と心地よさが、あたしを現実に戻してはくれなくて、遠ざかっていく杉本の背中が見えなくなるまでそこに立っているしかなかった。
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No title

コメントありがとうございます~
早速とんで来ましたww
ラッドいいですよね^^
ウチちなみに…
俺色スカイとか好きですねww

ベースやってるんですか!!
ウチもめっちゃ下手ですよ
てか久しぶりにやったら手動かなくなってたし…
ウチもまだベースのことしらないんで
わかんないことあったら聞いちゃいますねww

またきますww
こっちもたまに遊びに来てください!

でわ(・w・)ノシ
プロフィール

厘猫

Author:厘猫
厘猫っていいます。

生物学上は女。多分。確かそう書いてあった気がする戸籍とか。
年中頭の中は中2の夏のある日。
心理テストでもそう出た。
でも冷たい人間だって称される。
何言ってんだ、だれより熱いハートを持ってんだぜ、俺は!!!

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